
この度はカウンセリングベージをご覧いただき、誠にありがとうございます。
カウンセラーの 辻 佐織 です。
日本では、カウンセリングを利用したことがない方がまだまだ大多数かと思います。
そのため、カウンセリングって何をするの?どんなことをしてくれるの?という疑問や不安を抱えている方も多いかと思います。
また、カウンセラーひとりひとりによって、臨床経験や知見、主義、手法、信念、アイデンティティ、プロフェッショナリズムは異なるものだと考えています。
そのためカウンセリングを利用したことがある方にも、いま一度、わたしが大事にしているカウンセリングの本質とは何かを、この場を借りて、岡田斗司夫さんの”悩みのるつぼ”というコンテンツの相談者の事例をお借りして、開示したいと思います。
悩みのるつぼに投稿された27歳女性のお悩み内容です。

私は27歳で、7歳の男の子がいるシングルマザーです。
中絶する予定の前日に実家から逃げ、1人で子どもを産み育ててきました。息子は元気で明るく、家事を手伝ってくれます。ただ勉強を見てあげれず、勉強嫌いになりました。私は昼夜働いていますが、それはずっと子どもと一緒にいることが怖いからです。私がハイハイの時に両親が離婚、3歳の時に新しい母親が来て虐待され続けました。虐待された子は虐待する可能性があるって聞いて怖いんです。
高校卒業後、寮付きの派遣の会社に入りましたが、休日に皆で遊びに出かけた帰り、上司に唇にキスされたショックで退職。夜の仕事が本業になり、じきにお客さんの子どもができました。私自身に結婚する気が全く無く、認知もしてもらいませんでした。でも子どもが3ヶ月の時、私が入院している間に彼は浮気をして、私の貯金を全部持って失踪しました。縁が切れて良かったと思います。子どもには父親は交通事故で死んだ、と言っています。
今は愛人のような形で生活を助けてくれる相手がいますが、マンションのローンをちゃんと払っておらず、あと3ヶ月で出ていかなければならなくなりました。遺産問題で揉めて、ずっと連絡していなかった両親に「助けてほしい」と頼んだら、『自分の責任』と。その通りですが、どうすればいいのかわかりません。
岡田斗司夫 悩みのるつぼ 2019.12講演より
ここで、どのように着手していくか、順を追って解説していきます。
基本的には、岡田斗司夫さんが動画内で説明されているステップを踏んで、説明を進めていきます。

脳内でのジャグリング状態はとてもしんどい。
キャパを超えてしまうと、様々な問題を引き寄せてしまう。
頭を抱えるほどの悩み。
どっから手をつけていいのか?
どういうふうにすれば、役に立つような助言ができるのか。

STEP1
まずは書き出す。
テーブルの上に乗せてみる。
問題な大き過ぎたり、遠い将来のことであったり、家族のことであったり…
いよいよテーブルにも乗り切らなくなってくる。

STEP2
整理の作業。
今関係のないものを全てテーブルの外に落とす。
今対処が必要な問題だけ、テーブルの上に残す。
整理するという段階。
仕分けする段階。ジャンルごとに分ける、時間別順に並べること。

STEP3
仕分けする段階。ジャンルごとに分ける、時間別順に並べる。関連するもの毎にカテゴライズする。 問題は、解決することだけが解決ではない。
悩みというのは、ひとつひとつをみれば、取るに足らない問題である。
その他の問題と、複雑に絡み合うと初めて、悩みという状態になる。
このSTEP3のカテゴライズの部分。仕分けの段階です。
今回のシングルマザーの女性のお悩み内容も、何かのカテゴリ毎に分類する段階に入ります。

ここで、シングルマザーの女性の悩みの内容を、
❶ 今のあなたに関係あるか
❷ 今のあなたに関係がないか。
のふたつに分類します。

私は27歳で、7歳の男の子がいるシングルマザーです。
中絶する予定の前日に実家から逃げ、1人で子どもを産み育ててきました。
息子は元気で明るく、家事を手伝ってくれます。
ただ勉強を見てあげれず、勉強嫌いになりました。
私は昼夜働いていますが、それはずっと子どもと一緒にいることが怖いからです。
私がハイハイの時に両親が離婚、3歳の時に新しい母親が来て虐待され続けました。
虐待された子は虐待する可能性があるって聞いて怖いんです。
高校卒業後、寮付きの派遣の会社に入りましたが、休日に皆で遊びに出かけた帰り、上司に唇にキスされたショックで退職。
夜の仕事が本業になり、じきにお客さんの子どもができました。
私自身に結婚する気が全く無く、認知もしてもらいませんでした。
でも子どもが3ヶ月の時、私が入院している間に彼は浮気をして、私の貯金を全部持って失踪しました。
縁が切れて良かったと思います。
子どもには父親は交通事故で死んだ、と言っています。
今は愛人のような形で生活を助けてくれる相手がいますが、マンションのローンをちゃんと払っておらず、あと3ヶ月で出ていかなければならなくなりました。
遺産問題で揉めて、ずっと連絡していなかった両親に「助けてほしい」と頼んだら、『自分の責任』と。
その通りですが、どうすればいいのかわかりません。
岡田斗司夫 悩みのるつぼ 2019.12講演より

一斉に頭のなかで考えているから、脳のジャグリング状態。ひとつひとつのパーツも大き過ぎる。1番大事なのは、3ヶ月先にマンション追い出される。これが、今すぐに解決しなければならない問題。
覚えておかなければならない自分のトラウマや過去の話。今すぐではなく、将来引っかかってくる問題。
すぐに近所の役所の福祉課へ行って、母子家庭への支援やサービスついてきいてくる。夜の仕事というのはまだ続けられるのか、まだ稼げるのか。愛人みたいな関係というのは、いくら払ってくれるのか、3ヶ月後というのは引き延ばせないのか。今の自分の生活環境だけを考えてください。という助言をすることで終結しました。

ところで、あらゆる問題には5つのアプローチの手段があります。
みんな、ついつい、ほとんどの問題は解決しないってこと、忘れちゃうんです。
わたしはカウンセラーですので、ほとんどの悩みは解決しません、というだけでは、職務放棄のようになってしまいます。
わたしの中では① 解決する、がもっとも最優先着手事項で、次に⑤ 共有する、という部分に聴き手として最大限効果を発揮できるように、プロ意識をもってカウンセリングにあたっています。

問題に対する5つの対処法
① 解決する |
② 逃げる |
③ 保存する |
④ 忘れる |
⑤ 共有する |
「問題に対する5つの対処法」 | |
① 解決する | 役所へ行って、手続きをしたり、パワハラのある職場を辞め、転職を果たしたり。実は悩み事の中で実際に解決できるものは数少ない。よって、2〜5の、解決する以外の方法をいかに上手く活用できるかが、悩みごとに蝕まれずに済むかのコツである。 |
② 逃げる | 考えないようにする。数年経てば悩む必要がなくなるような問題は、逃げて良い。時間が勝手に解決する。過去の失恋なども同様。 |
③ 保存する | 忘れてはいけないこと、ノートに書き納めて、忘れないようにする。いずれ解決しなければいけない問題であり、ただ今の私にその答えが出せるとは思えないので、せめてその問題を忘れないようにしようと記録しておく。 |
④ 忘れる | あたかもそのような問題などなかったかのように振る舞う。問題は無限にあるので、忘れられるのであれば、忘れるに越したことはない。特に自分の人生に影響を及ぼさない問題ほど忘れて良い。 |
⑤ 共有する | 他の人に話す。「私はこういったことを抱えていて、、、」と、誰かに共有することによって、その問題自体は解決しないのだが、話すことで気が楽になる。 |

解決するだけが答えではない。
解決策を講じて解決できる問題は、全体の10%もないのではないか。
つまり90%以上のことは、解決できない、解決せずにやり過ごしていくしかない問題である。
ただほとんどの問題は、解決していない。自分が介入しないところで何とかなっている。その問題に対して何一つ対処はできていないのだけれども、何とかなっている。ただ、解決はしていない。でも生きていて、そのことを乗り越えている。
シングルマザーの女性に言えることは、
① 解決する:早いこと公的機関なり役所なりに行って、3ヶ月以内のことを考えなさい
⑤ 共有する:誰かに話してわかってもらいなさい。
「問題に対する5つの対処法」 | |
① 解決する | 理想であって、皆んなついつい唯一と思っているのが、解決する。 |
② 逃げる | 考意外と解決。 嫁姑の関係。姑が90歳だった場合、逃げて構わない。解決するする必要はない。あと数年もすれば姑は呆けたり、亡くなったりするから。勝手に解決する。 問題のアプローチとして全然あり。 過去の失恋に対しても同じ。逃げて良い。考えないようにする。 |
③ 保存する | そういう問題もあるよな、忘れちゃいけないな、という問題。ノートに書いて覚えておく。 人類はなぜ戦争するのか、男女はなぜ分かり合えないのか、なぜ人種差別は無くならないのか。 もちろん解決するのが理想。 そういう問題は私はわからないよ、と逃げるのも方法だが、自分だけのノートに書いておく、というのも方法。いずれ人類が解決しなければならない問題。私が生きている間に答えを出さなければならない問題だ。しかし今の自分にはまだ答えが出せるとは思えない。せめて、その問題を忘れないようにしよう。 |
④ 忘れる | 逃げる保存するより、もっと根本的に、そんな問題なんてなかったかのように振る舞うこと。 忘れられるのであれば、問題なんて忘れるのが1番良い。なぜなら問題なんて無限にあるから。あまり自分の人生に影響がない問題、自分の損得に影響しない問題は、基本的には忘れるのが最も良い。 |
⑤ 共有する | 共有する。他の人に話す。人に話してみる。誰かと共有することによって、その問題はなくなるなくても気が楽になる。2〜5までは問題は何一つ解決していない。 |

皆んなほとんどの問題は解決しないということをついつい忘れてしまう。自分の頭の中に湧いてくる問題にしろ、会社の問題にしろ、人間関係にしろ、将来の悩みにしろ、自分の子どもの問題にしろ、自分の家族の問題にしろ、後で振り返ってみたら、ほとんど解決していない。ただ、あの頃何であんな悩んだんだろうと思って、どうでもよくなっているか、自分が介入しないところで何とかなった。息子の成績は上がらないという悩みに関して、成績は結局上がらなかったのだけど、それなりに息子は楽しそうな学校に行ったという結末がある。何一つ解決してないのだけど、解決している。
解決ではない、何一つ手を打たなくてもどうでも良くなった。
90%以上は、解決しない、2〜5
本当は99%だとも思う。
1%だけ、実行可能な解決策があったりする。
かなりの人が5ができない。
何でできないのかというと、できない性格だから。
人に話せない性格。
話せない性格の人間は、2〜4のプロセスを辿るしかない。それなりの効き目があるが、気を楽にしてくれる役割でしかない。それによって何とか勝手に問題が解決してくれる。解決するという自動詞ではなくて、解決してくれる他動詞。
話せる性格の人間は5が使える。5は1並に強力。
ここまでは人に言えるが、ここからは人に言えない。というケースが多い。
まず紙に書いてみて、仕分けしてみる。

余談:6つ目の問題への対処法
⑥ 面白がる
自分が腰が悪くなって、車椅子生活になるかもしれないと医師に通告されたとき、ある程度悩んで困ったりした。
面白がるというのは、自分を客観視するということ。
自分の身に降りかかったことだとして、自分に主観を置いていると、ずっとしんどい。
幽体離脱したみたいに自分とちょっと離れたところからみると、ちょっと面白くなる。
少し高度な手法だけど、ぜひやってみてください。
